[五十嵐貴久] リバース [小説]
2021年3月、オトナの土ドラ枠で放送中の「リカ~リバース」の原作。「リカ」シリーズの3作目。ドラマ観終わってから読もうと思っていたけど耐えられなくて読んでしまった。
医者の父、美しい母、高貴なまでの美貌を振りまく双子梨花と結花。非の打ち所の無い雨宮家で家政婦として働く幸子は彼らを取り巻く人間に降りかかる呪われた運命に疑念を抱く。
そして、ある「真相」にたどり着いた幸子は留守番電話に悲痛なメッセージを残すが・・・・。
プロローグとエピローグを除いて幸子が両親を亡くしてから育ててくれた神父に宛てた手紙の形式をとっている。
映像化の際に設定が色々変わっている。まずストーリーテーラーである幸子。ドラマでは少なくとも母親は健在だったが、原作では前述したように両親を亡くして教会に引き取られて育った。ドラマ中で母親が倒れて長野に戻るエピソードは原作では神父が倒れて戻ることになっていた。ドラマ中では雨宮家に戻るのは1年後だったが、原作では2年後となっていた。次に千尋先生。ドラマ中では英語の家庭教師だったが、原作ではピアノ教師であった。宗像先生はドラマでは最初から医大生だったが、原作では初出時は理工学部の3年生。卒業後に医大に入学しなおしていた。
そして雨宮家の面々。原作では犬と熱帯魚が飼われている。父親の武士が亡くなる原因は原作では車の事故ということになっていた。母親の麗美は原作では37歳。ドラマでは自分を叩いたりしているが原作では娘たちを叩いたり、真冬にも関わらず冷水を浴びせさせることをしている。また宗教らしいものに嵌っているらしい。ドラマでは夫を亡くした後、宗像を恋愛対象にしていたが、原作では宗像はただの家庭教師として扱っていた。
そして双子の娘たち。ドラマでは初出時は中学生だったが、原作では小6であった。結花が中学校入学直後に脳腫瘍で入院し、それが原因で1年留年すること。
「リカ」が誕生する前触れとなる近隣のペットが複数惨殺される事件がきちんと描写されている。幸子は千尋が失踪、いや殺されたのは麗美だと神父にも手紙で伝えたのだが、最期になってそれが思い違いだったと気付くことになる。ピンクのパジャマを着ていた人物が麗美とバスルームに倒れていた。つまり、「リカ」の正体は・・・・。ドラマは配役でそれに気付いてしまうのが残念。
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