[柚月裕子] ウツボカズラの甘い息 [小説]
「ウツボカズラの夢」の原作と勘違いをして購入してしまった本。
家事と育児に追われる高村文絵はある日、中学時代の同級生杉浦加奈子に再会。彼女から化粧品販売ビジネスに誘われ、大金と生き甲斐を手にしたが、鎌倉で起きた殺人事件の容疑者として突然逮捕されてしまった。
文絵は無実を訴えるが、鍵を握る加奈子が姿を消し、更に詐欺容疑まで掛けられてしまう。全ては文絵の虚言か企みなのか?
半分過ぎまで文絵のパートと警察の秦たちが出てくるパートが交互に出てくるのだが、2つの時の流れは並行かと思い込んで読んでいると、並行ではなくずれていることに気付くと正直混乱する。文絵と加奈子が出会ったのは殺人事件のどれくらい前だったのだろうか?
冒頭で文絵には解離性障害があることが記述されているのだが、まさか子供が2人とも居なかったとは思わなかった。正直そこまでやらなくても感。
加奈子を一応探すことにしたのは文絵が解離性障害があることも一因のような気もした。
本物の杉浦加奈子はマルチ商法に嵌って自殺をし、杉浦加奈子にマルチ商法を勧めた園部敦子も新興宗教に嵌って自殺をしていたという点は面白い。実際にありえるのかといえばないのだろうけど。園部敦子の知人別司がたまたま見かけた敦子と一緒に居た女が落としたATMの明細の内容、7年前の記憶がそんなに鮮明だろうか?
よくよく読み返すと粗が目立つのだけど、秦&中川の刑事コンビが真犯人を追い求めていく段階は興味深い。
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